コロナ禍以降、リモートワークを取り入れる企業が増え、今までアナログで管理していた業務を、社外からでも行えるようなシステム開発を検討している、と言うようなご相談をいただくようになりました。
いわゆるDX(デジタル技術を用いて、生活やビジネスを変革させること)とよばれる流れです。
システム導入にあたり、すぐに使えるパッケージシステムが良いのか、ゼロから自社オリジナルでシステム開発をするスクラッチ開発の方が良いのかで迷われることもあるかと思います。ところで、「パッケージシステム、オーダーメイドシステム、スクラッチ開発」の言葉の定義をご存じですか?
システム開発、パッケージとスクラッチ、「どちらがお得?」ではなく「どちらがより自社にマッチしているか?」
では、どちらがいいのか?と聞かれると、目的や状況、事例ごとにお勧めするべきものが異なるため、正直に申し上げて「お客様次第」というお答えになってしまいます。
多くのお客様はシステム開発において適切な手法の導入を決めるとしても、どのように検討して良いのかわからないという状況だと思います。
まず、検討するためには、それぞれの特徴を理解する必要があります。
パッケージシステムの導入、スクラッチによるゼロからのシステム開発、それぞれの特徴と、メリットとデメリットを挙げてみようと思います。
パッケージとスクラッチは同じではない?
こちらのページでは、「パッケージシステム」と「スクラッチ(オーダーメイド)開発」の違いを分かりやすく解説していきます。
一般的に“スクラッチ開発”はゼロから開発することを指し、オーダーメイド開発とほぼ同義と考えても差し支えありません。しかし、呼び方の違いによって、費用や工期、導入手順に対する印象が変わるため、「スクラッチはハードルが高そう」「パッケージはすぐ導入できるけど融通が利かない」などとイメージする方も多いのではないでしょうか。
以下では、そんな疑問点を解消するために、パッケージとオーダーメイド(スクラッチ)開発それぞれの強みや注意点、導入事例などをまとめました。
パッケージシステムとオーダーメイド(スクラッチ)開発の違いとは?
システム導入を検討する際、多くの企業が「既製のパッケージシステムにするか、それともオーダーメイド(スクラッチ)で一から作るか」で迷います。
エンジニア視点では「スクラッチ開発」と「オーダーメイド開発」はほぼ同じ意味合いと捉えられるケースが多いですが、呼称が異なることで混乱が生じることがあります。
ここでは、両者の特性をしっかり比較しながら、どちらが自社に適しているかを判断する際のポイントを解説していきます。
パッケージシステムのメリット・デメリット
パッケージシステムの主なメリット
- 導入スピードが速い:既に完成されたシステムのため、大きなカスタマイズが不要なら短期間で使い始められます。導入時点で、すでにシステムとして利用できる機能が揃っており、インストールや初期設定だけで使い始められるものが多く、早く使いたい時に適しています。
- 初期コストを抑えやすい:スクラッチ開発に比べ、ライセンス費用やセットアップ費用のみで済む場合が多いです。完成されたシステムのため、販売価格も定まっていることが多く、販売店や商流により変動はあるものの、価格での比較検討がしやすくなっています。
- ベンダー実績やサポートがある:有名ベンダーの場合、導入事例が豊富で安心感が得られます。同じシステムを利用している他社事例を聞くことができるので、検討の段階で導入後の運用が比較的イメージしやすいかと思います。
パッケージによっては導入前にお試しで利用することができるものもあります。
パッケージシステムの主なデメリット
- 自社の業務フローに完全対応しない:パッケージシステムの標準機能に合わせるため、業務をパッケージに“合わせる”必要がああります。中には追加費用をかけることで、カスタマイズが可能な場合もありますが、その場合も基本的な機能や仕組みはベースとなるパッケージシステムに依存するため、全てをカバーすることを目指してカスタマイズをすると、スクラッチ開発と同じくらいの費用になってしまうケースもあります。パッケージシステムの追加変更は思った以上に経費も、変更作業に携わるお客様、開発会社双方の労力も膨大なものになる場合が多々あります。
- サービス提供会社によるサービスの停止・変更の可能性:
システム提供元の会社が何らかの理由でシステムのサービスを停止または終了すると、当然ながらシステムの利用が出来なくなります。また、仕様変更が行われる場合もあります。例えば、他社では利用頻度の低い機能を、停止や、仕様変更され、今までのように利用出来なくなるということもあり得ます。
- データの互換性:
パッケージの仕組みによっては、入力してあるデータを別システムに移行することが出来ず、利用中に蓄積されたデータをその後に導入する別のシステム、または新たにスクラッチでシステム開発をする際に活用することが出来なくなる可能性もあります。
- 不要な機能が含まれる場合がある:汎用的に作られているため、実際には使わない機能が多いことも。
- カスタマイズが割高になる可能性:機能追加や変更に別途費用がかかり、結果的に高額になることがある。(自社の業務フローに完全対応しないの項目を参照ください)
オーダーメイド(スクラッチ)開発のメリット・デメリット
オーダーメイド(スクラッチ)開発は、要件定義から始まり、ゼロベースでシステムを構築していくため、自由度や拡張性が高い一方で、費用や工期の面で課題が出る場合もあります。
しかし、昨今は開発環境やフレームワークの進化により、以前ほどハードルが高くなくなってきています。
オーダーメイドの主なメリット
- 独自の業務フローにぴったりフィット:必要な機能だけ盛り込み、余計な機能を削ぎ落とせる。
オーダーメイドで開発するので、自社の業務合わせて作っていくことができます。そのため、パッケージシステムではカバーしきれないイレギュラーな業務や自社独自の運用方法にも対応することができ、自社専用のシステム開発ができます。
- 将来的なカスタマイズも容易:事業拡大や業務変更に合わせ、仕様を追加・変更しやすい。
- 他システムとの連携がしやすい:周辺業務や外部サービスとのAPI連携なども柔軟に組み込める。
- 長い期間使い続けることができる:外注した場合、納品物としてソースコードごと提供してもらうことが多いため、万が一、システム開発してもらった会社との取引がなくなってしまっても、ソースコードがあれば別の会社にシステムの引き継ぎをお願いできる可能性があります。システムのつくりによっては引き継ぎが難しい場合もありますが、ソースコード以外に仕様書などのシステムに関する資料が残っていれば、それらを活用することもできます。
オーダーメイドの主なデメリット
- 初期費用が高めになりやすい:要件定義や開発工数が多いため、パッケージよりもコストがかかりやすい。
- 開発期間が長期化するリスク:機能追加や仕様変更が発生すると、リリース時期が遅れる可能性がある。
- 開発会社の選定が重要:コミュニケーションや技術力次第では、完成後の品質や保守性にも大きく影響する。
- コミュニケーションが大切:オーダーメイドのため、開発の外注先にどのようなシステムが欲しいのか、運用はどのように行うのか、などを細かく伝える必要もあり、外注先と「ともにシステムを作り上げていく」という姿勢で、依頼側の協力体制も必要になります。
システム開発を外注するにあたり、どのようなことを決めれば良いのか、システム開発のお見積りのご依頼について 、見積 もりに必要な情報 でご案内しておりますので、よろしければそちらの記事もご参考にしてみてください。
どちらを選ぶべき? 最適な選定ポイント
「パッケージかオーダーメイドか」は企業規模や業種、利用目的などによって変わります。下記のポイントを参考に、自社に合った選択をしてみてください。
1. 自社業務の独自性を重視するか
カスタマイズ不要で標準機能のみでも十分運用できそうならパッケージでも良いでしょう。
しかし、独自のサービスや特殊なフローを強みにしている場合は、オーダーメイド(スクラッチ)の方が長期的には有利です。
2. コストと納期をどう考えるか
パッケージ導入は初期費用・導入期間ともに小さく抑えられるケースが多いです。
一方、オーダーメイドでも工夫次第で短納期化・コスト削減が可能な場合があるため、開発会社の提案内容をよく比較検討してみましょう。
3. 運用・拡張性を重視するか
ビジネス環境の変化に合わせてシステムを柔軟に修正していきたいなら、オーダーメイドが向いています。
将来を見越した設計を行えば、事業の拡大や新サービスとの連携も容易になります。
SIAが提供する短納期・高品質のオーダーメイド開発
弊社SIAでは、Webシステム開発(PHP, AWS等)を中心に、多様な業種のお客様にオーダーメイド開発サービスを提供しています。
「スクラッチは時間がかかる」と思われがちですが、当社独自の開発プロセスによって、短納期&高品質を両立。
また「しゃべれるエンジニア」が直接やり取りを担当するため、IT用語や技術的なハードルを感じさせないコミュニケーションを実現しています。
導入事例1:製造業A社
既存のパッケージをカスタマイズしきれず、業務効率化が進まなかった製造業A社様では、当社のスクラッチ開発に切り替えて以下のメリットを得られました。
- 複雑な生産工程に合わせた独自フローをシステム化
- 不要機能を省き、運用コストを削減
- 今後の拡張にも対応可能な設計
結果として、運用負荷の大幅な低減と社員の作業工数削減につながっています。
導入事例2:独自サービス展開企業B社
オンラインプラットフォーム型の新事業を開始するため、パッケージでは実現できない機能を求め、スクラッチ開発をご依頼いただきました。
要件定義からリリースまで、タイトなスケジュールではありましたが、当社のアジャイル方式により、
- 開発途中から実際のプロトタイプを試用し、改善を素早く反映
- 新機能をフェーズごとにリリースしながらサービスを拡張
- ユーザーインタビューを繰り返し実施し、UI/UXを最適化
というステップを踏むことで、予定通りのローンチを実現。
ローンチ後の拡張計画も見据えた設計のため、長期的に継続してサービスを成長させる基盤が整っています。
システム開発・パッケージ導入におけるコミュニケーションの大切さ
このようにそれぞれの手法の特徴、メリットデメリットを比較し、自分たちの会社がどんな風にシステムを使っていきたいのか、運用はどのように行うのか?予算はどのくらい確保できるのか?など、状況や環境を考慮して選ぶことが大切です。
当社でも過去に特定の製造業向けのパッケージシステムをご用意し、ご提案したことがありました。
そのパッケージがAIの画像認識を活用したシステムということをきっかけにご興味をいただきました。
簡易的に動作するデモシステムをご覧いただきながら、現状の運用状況やシステム導入によって解決したい課題などをヒアリング。
しかし、ヒアリングを進めていくと、解決したい問題はパッケージの機能だけでは要件を満たせず、機能追加が必要なことがわかりました。
改めて要件を洗い出すとパッケージでなくとも、要件を満たすことは可能で、かつ、より使い勝手の良いシンプルなシステムのご提案ができたため、結果としてスクラッチによるシステム開発で進めることになった、という事例もございます。
ご予算やスケジュールなどにより選択肢も変わってくると思いますが、当社の過去の事例では、導入後に長い期間利用を鑑みると導入後のカスタマイズや将来的に拡張性の高い方が良いと、スクラッチ開発をご希望されるお客様が多い印象です。
また、まずはパッケージシステムを導入して、システムを使った業務に慣れることから始め、活用を広げたいタイミングでスクラッチでシステム開発に取り掛かる、という進め方も考えられます。
スクラッチによるシステム開発の場合も、最初から全ての業務を行うための機能を備える必要はなく、段階を踏んで、少しずつ機能を増やしていく方法もございます。
「今使っているパッケージの機能では物足りなくなった」
「特殊な業務が多いので既存パッケージでは見合うものがない」
「パッケージもあるけど、使わない機能が多くオーバースペック気味」
「社内のDXをすすめるために自社オリジナルシステム開発を検討したいけど、何がいいのか、そもそも、この作業はシステム化ができるのかがわからない」
‥などなど、このほかにも様々なご相談が寄せられました。
まとめ:パッケージかオーダーメイドか悩んだらご相談ください
「パッケージシステム」と「オーダーメイド(スクラッチ)開発」は、それぞれにメリット・デメリットがあります。
大事なのは、自社の事業や業務の特性、そして将来の拡張性や運用性を踏まえて最適な選択をすることです。
もしどちらかで迷われている場合でも、SIAが中立的な視点でご提案いたします。
私たちは、短納期・高品質・柔軟な対応をモットーに、IT初心者の方にもわかりやすいコミュニケーションを心がけています。
まずはお気軽にご相談ください。要件定義やお見積もりなど、無料でサポートいたします。
弊社では、お客様ごとのお悩みやご事情を個別にヒアリングし、無理のない導入スケジュールでスクラッチによるシステム開発のご提案を行なっております。
パッケージを導入するか、スクラッチでのシステム開発どちらにするか、ご検討の際は、どうぞお気軽にご相談ください。
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