コロナ禍以降、リモートワークを取り入れる企業が増え、今までアナログで管理していた業務を、社外からでも行えるようなシステム開発を検討している、と言うようなご相談をいただくようになりました。
いわゆるDX(デジタル技術を用いて、生活やビジネスを変革させること)とよばれる流れです。

システム導入にあたり、すぐに使えるパッケージシステムが良いのか、ゼロから自社オリジナルでシステム開発をするスクラッチ開発の方が良いのかで迷われることもあるかと思います。

 

システム開発、パッケージとスクラッチ、「どちらがお得?」ではなく「どちらがより自社にマッチしているか?」

では、どちらがいいのか?と聞かれると、目的や状況、事例ごとにお勧めするべきものが異なるため、正直に申し上げて「お客様次第」というお答えになってしまいます。

多くのお客様はシステム開発において適切な手法の導入を決めるとしても、どのように検討して良いのかわからないという状況だと思います。
まず、検討するためには、それぞれの特徴を理解する必要があります。
パッケージシステムの導入、スクラッチによるゼロからのシステム開発、それぞれの特徴と、メリットとデメリットを挙げてみようと思います。

 

【パッケージシステムとは】

特定の業務向けにある程度完成しているシステムです。環境設定などを行えば、どの会社でも汎用的に短期間の準備で利用を開始することができます。

 

<パッケージシステムのメリット>

1.導入までの時間がスクラッチ開発に比べて短い

ゼロからシステム開発を行うスクラッチ開発とは異なり、すでにシステムとして利用できる機能が揃っており、インストールや初期設定だけで使い始められるものが多く、早く使いたい時に適しています。

2.費用感のイメージがしやすく、費用を抑えることができる

出来上がっているシステムのため、販売価格も定まっていることが多く、販売店や商流により変動はあるものの、価格での比較検討がしやすくなっています。

3.導入事例が多数あることが多いので他社事例も参考にできる

同じシステムを利用している他社事例を聞くことができるので、検討の段階で導入後の運用が比較的イメージしやすいかと思います。
パッケージによっては導入前にお試しで利用することができるものもあります。

 

<パッケージシステムのデメリット>

1.利用状況はシステム提供会社に依存してしまう

すでに出来上がっているシステムのため、会社ごとに異なる独自の業務フローや運用方法に細かく対応することが困難です。中には追加費用をかけることで、カスタマイズが可能な場合もありますが、その場合も基本的な機能や仕組みはベースとなるパッケージシステムに依存するため、全てをカバーすることを目指してカスタマイズをすると、スクラッチ開発と同じくらいの費用になってしまうケースもあります。パッケージシステムの追加変更は思った以上に経費も、変更作業に携わるお客様、開発会社双方の労力も膨大なものになる場合が多々あります。

また、システム提供元の会社が何らかの理由でシステムのサービスを停止または終了すると、当然ながらシステムの利用が出来なくなります。

パッケージの仕組みによっては、入力してあるデータを別システムに移行することが出来ず、利用中に蓄積されたデータをその後に導入する別のシステム、または新たにスクラッチでシステム開発をする際に活用することが出来なくなる可能性もあります。

 

【スクラッチ開発とは】

システムやアプリケーションをゼロから作り上げていくシステム開発方法です。
完全オリジナルのオーダーメイドシステムとして、発注した会社の業務に細かく合わせて作ることができます。

 

<スクラッチ開発のメリット>

1.自社の業務に合わせたシステムを作ることができる

オーダーメイドで開発するので、自社の業務合わせて作っていくことができます。そのため、パッケージシステムではカバーしきれないイレギュラーな業務や自社独自の運用方法にも対応することができ、自社専用のシステム開発ができます。

2.長い期間使い続けることが出来る

外注した場合、納品物としてソースコードごと提供してもらうことが多いため、万が一、システム開発してもらった会社との取引がなくなってしまっても、ソースコードがあれば別の会社にシステムの引き継ぎをお願いできる可能性があります。システムのつくりによっては引き継ぎが難しい場合もありますが、ソースコード以外に仕様書などのシステムに関する資料が残っていれば、それらを活用することもできます。

 

<スクラッチ開発のデメリット>

1.コストがかかる

ゼロからオーダーメイドで作り上げるため、パッケージに比べると時間も予算も掛かってしまいます。

また、オーダーメイドのため、開発の外注先にどのようなシステムが欲しいのか、運用はどのように行うのか、などを細かく伝える必要もあり、外注先と「ともにシステムを作り上げていく」という姿勢で、依頼側の協力体制も必要になります。

システム開発を外注するにあたり、どのようなことを決めれば良いのか、システム開発のお見積りのご依頼について 、見積 もりに必要な情報 でご案内しておりますので、よろしければそちらの記事もご参考にしてみてください。

 

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このようにそれぞれの手法の特徴、メリットデメリットを比較し、自分たちの会社がどんな風にシステムを使っていきたいのか、運用はどのように行うのか?予算はどのくらい確保できるのか?など、状況や環境を考慮して選ぶことが大切です。

当社でも過去に特定の製造業向けのパッケージシステムをご用意し、ご提案したことがありました。
そのパッケージがAIの画像認識を活用したシステムということをきっかけにご興味をいただきました。

簡易的に動作するデモシステムをご覧いただきながら、現状の運用状況やシステム導入によって解決したい課題などをヒアリング。

しかし、ヒアリングを進めていくと、解決したい問題はパッケージの機能だけでは要件を満たせず、機能追加が必要なことがわかりました。

改めて要件を洗い出すとパッケージでなくとも、要件を満たすことは可能で、かつ、より使い勝手の良いシンプルなシステムのご提案ができたため、結果としてスクラッチによるシステム開発で進めることになった、という事例もございます。

ご予算やスケジュールなどにより選択肢も変わってくると思いますが、当社の過去の事例では、導入後に長い期間利用を鑑みると導入後のカスタマイズや将来的に拡張性の高い方が良いと、スクラッチ開発をご希望されるお客様が多い印象です。

また、まずはパッケージシステムを導入して、システムを使った業務に慣れることから始め、活用を広げたいタイミングでスクラッチでシステム開発に取り掛かる、という進め方も考えられます。

スクラッチによるシステム開発の場合も、最初から全ての業務を行うための機能を備える必要はなく、段階を踏んで、少しずつ機能を増やしていく方法もございます。

 

「今使っているパッケージの機能では物足りなくなった」

「特殊な業務が多いので既存パッケージでは見合うものがない」

「パッケージもあるけど、使わない機能が多くオーバースペック気味」

「社内のDXをすすめるために自社オリジナルシステム開発を検討したいけど、何がいいのか、そもそも、この作業はシステム化ができるのかがわからない」

 

‥などなど、このほかにも様々なご相談が寄せられました。

 

弊社では、お客様ごとのお悩みやご事情を個別にヒアリングし、無理のない導入スケジュールでスクラッチによるシステム開発のご提案を行なっております。
パッケージを導入するか、スクラッチでのシステム開発どちらにするか、ご検討の際は、どうぞお気軽にご相談ください。

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