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Excelマクロ(VBA)のブラックボックス化リスクとは?属人化した業務マクロをWebシステム化する進め方

「そのマクロの中身を、いま説明できる人は社内にいますか?」

Excelマクロ(VBA)は、現場の知恵で業務を自動化できる優れた仕組みです。一方で、作成した担当者の退職や異動をきっかけに、誰も中身を把握していない「ブラックボックス」のまま基幹業務を支え続けているケースが、中小企業を中心に数多く存在します。

本記事では、SIA株式会社に実際に寄せられたご相談をもとに、属人化したExcelマクロが抱えるリスクと限界を迎える瞬間を整理し、生成AIを活用した解析からWebシステム化までの現実的な進め方を解説します。

Excel マクロ VBA


1. 実際にあったご相談 — 20年動き続けたマクロを、誰も開けない

先日、ある企業からこのようなご相談をいただきました(詳細は匿名化しています)。

  • 約20年前に当時の社員が作成した集計マクロを、今も毎月の業務で使い続けている
  • 作成者はすでに退職しており、社内にVBAを触れる人がいない
  • Officeの更新で動かなくなることを恐れ、環境をなるべく変えないよう運用している
  • そして最も深刻な点として——マクロが出力する数値が本当に正しいのか、誰も検証できない

仕様書はなく、検算の手段もない。「ずっとこの数字でやってきたから合っているはず」という前提の上に、毎月の経営判断が積み重なっている状態でした。

これは特殊な事例ではありません。「動いているから大丈夫」と「出てくる数字が正しい」はまったく別の問題であり、後者を確認する手段を失っていることこそが、ブラックボックス化の本質的なリスクです。


2. なぜExcelマクロはブラックボックス化するのか

Excelマクロが属人化しやすいのには、構造的な理由があります。

  • 開発の敷居が低い:現場の「ちょっと詳しい人」が独力で作れてしまうため、仕様書やドキュメントを残す文化が生まれにくい
  • 継ぎ足し改修の積み重ね:業務変更のたびにコードが追記され、全体像を把握している人が作成者だけになる
  • 暗黙知がコードに埋まる:「この取引先だけ特別扱い」「この月だけ手で直す」といった業務ルールが、口伝とコードの中にしか存在しない
  • 退職・異動で一気に断絶する:引き継ぎ資料にマクロの内部仕様まで書かれることはまれで、作成者がいなくなった瞬間に誰も触れなくなる

結果として、Excelファイルそのものが**「仕様書のない本番システム」**になります。


3. 限界を迎える瞬間 — マクロが止まる・狂うトリガー

ブラックボックス化したマクロは、次のようなイベントをきっかけに突然限界を迎えます。

トリガーとなるイベント何が起きるか
Office・Windowsのアップデート非互換によりマクロが停止・誤動作。怖くて更新を止めると、今度はセキュリティリスクが増大
PCの入れ替え・64bit化32bit前提のAPI呼び出しやActiveX・参照設定が切れて動かなくなる
作成者・運用担当者の退職操作手順や「手直しのコツ」といった運用知識が失われる
データ量・利用者の増加処理時間が肥大化。ファイル共有での同時利用が破綻し、データ破損も発生
テレワーク・拠点展開「あのPCでしか動かない」マクロが、働き方の変化に対応できない
OneDrive・SharePointへの移行ローカルパスや参照ブックを前提としたマクロがクラウド移行で壊れる
監査・内部統制への対応計算根拠を説明できず、数値の正当性を証明できない

注意すべきは、エラーで止まるのは「まだ良いケース」だということです。本当に怖いのは、参照範囲のズレや集計漏れがエラーを出さずに進行し、間違った数値を出し続けることです。検証できる人がいなければ、誰も気づけません。


4. 放置することの経営リスク

ブラックボックス化したマクロの放置は、IT課題ではなく経営課題です。

  • 経営判断の基礎数値が検証不能:売上集計・予算・原価計算などの数字に誤りがあっても発見できない
  • 業務継続リスク:マクロが止まった瞬間に月次業務が停止。復旧の手段も期間も読めない
  • 内部統制・監査対応:計算ロジックを説明できないことが、監査や上場準備、M&Aデューデリジェンスの障害になる
  • 時間経過とともにリスクが増大:放置する間にも周辺環境(OS・Office・クラウド)は変化し続け、復元の難易度が上がっていく

5. ブラックボックス化チェックリスト

次の項目に一つでも該当する場合、現状把握を始めるタイミングです。

  • マクロの中身を説明できる社員がいない
  • 作成者がすでに退職・異動している
  • 仕様書・設計書・ドキュメントが存在しない
  • 「このPCでしか動かない」ファイルがある
  • マクロのためにOfficeやWindowsの更新を意図的に止めている
  • 出力された数値を検算する手段がない
  • 同じファイルのコピーが複数あり、どれが最新か分からない
  • 月次・年次の業務がそのマクロなしでは回らない

6. 解決の道筋 — AI解析による「見える化」からWebシステム化へ

ここからが本題です。かつてはブラックボックス化したマクロの解析だけで大きな費用と期間を要しましたが、生成AIの活用により、VBAコードからの仕様復元のコストは劇的に下がりました。何千行と継ぎ足されたコードでも、ファイルが残ってさえいれば「何をしているのか」「どの数値をどう計算しているのか」を体系的に解読できます。

SIAでは、次の4ステップでExcelマクロのシステム化を伴走支援しています。

Step 1 — マクロ資産の棚卸しと解析

社内に散在するマクロ付きExcelファイルを棚卸しし、業務上の重要度とリスクを評価します。生成AIも活用してVBAコードを解析し、計算ロジック・データの流れ・外部参照を洗い出します。出力数値の検証(検算)もこの段階で実施し、「数字が合っているのか分からない」状態をまず解消します。

Step 2 — 業務ロジックの見える化・仕様書化

解析結果を仕様書として文書化し、属人化していた業務知識を会社の資産に変えます。この時点で「直せないから触れない」状態から脱却でき、移行しない判断をする場合でも価値が残ります。

Step 3 — Webシステムへの段階移行

経営数値に直結する重要業務から順に、Webシステムへ段階的に移行します。すべてを一度に作り変える必要はありません。Webシステム化により、次のことが実現します。

  • ブラウザだけで利用でき、特定のPC・Officeバージョンへの依存がなくなる
  • 複数人での同時利用が安定し、ファイルコピーの乱立がなくなる
  • ユーザーごとの権限管理と変更履歴により、「誰が・いつ・何を変えたか」が残る
  • 外出先・在宅勤務・拠点間でリアルタイムにデータを共有できる
  • データ量・利用者数の増加にクラウドの拡張で対応できる

Step 4 — 保守運用までを一貫サポート

移行後のクラウドインフラ運用・ユーザー管理・機能改善まで継続的に支援します。「作って終わり」ではなく、再び属人化・ブラックボックス化しない体制を維持します。


7. まとめ — 動いている今が、最適なタイミング

  • 「動いている」と「正しい」は別。検証できないマクロは、間違っていても気づけない
  • ブラックボックス化の解消は、生成AIの活用で現実的なコストになっている
  • まずは「中身を説明できる人がいない自動処理」の棚卸しから。マクロが動いている今こそ、解析と移行を始める最適なタイミング

SIAでは、ExcelやAccessで構築された業務のWebシステム化を長年手掛けてきた経験を活かし、マクロの解析・検証から段階移行、保守運用までを一貫して支援しています。「ウチのあのファイル、誰も触れないかもしれない」という段階のご相談で構いません。お気軽にお問い合わせください。

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