技術情報・コラム(更新: 2026年9月6日

受託開発の費用相場|人月単価・工数・見積もりの内訳を解説

受託開発費は「人月単価 × 工数」で算出します。公式はシンプルですが、実務では人月単価と工数を押し上げる隠れた要素が少なくありません。本稿では2026年7月時点の相場観と、費用を決定づける九つの要素を整理します。見積もりを査定するときの物差しとしてご活用ください。

この記事の前提(金額の読み方)

同じ「小規模」でも、前提が違えば金額は桁で変わります。先に前提を示します。

  • 対象: 開発会社にチーム体制で請け負ってもらう受託開発(要件定義・設計・実装・テスト・リリースまで)
  • 算式: 総額 = 延べ工数(人月)× 人月単価。以下の表の総額はこの式で計算しています
  • 画面数: 一覧・詳細・登録・帳票など、機能ごとの画面を1本と数えた本数
  • 含まないもの: リリース後の運用保守費(別途、開発費の15〜25%/年)、サーバー・機器の費用、他社パッケージのライセンス費
  • 金額はすべて税別です

費用に関する3つのページの役割

ページ説明していることそこでの「小規模」
本記事人月単価と工数から見積額がどう決まるか〜20画面をチームで新規開発(500〜1,200万円)
システム開発の費用・相場予算全体の組み立てと費用の内訳、コストの抑え方画面数10未満の単機能ツール(100〜300万円)
Access・ExcelからWebシステムへの移行既存のAccess・ExcelをWeb化する当社サービスの費用単一業務の置き換え(100〜300万円)

小規模の金額がページによって違うのは、対象にしている案件の範囲が違うためです。既存の単機能ツールを置き換えるなら100〜300万円、複数画面の業務システムを新規に請け負う場合は500万円以上、と読み分けてください。

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受託開発の人月単価と総額【早見表】

規模ごとの目安です。総額は「延べ工数 × 人月単価」で計算しています。

規模延べ工数の目安人月単価総額の目安
小規模(〜20画面)4〜8人月100〜180万円500〜1,200万円
中規模(〜60画面)13〜30人月150〜220万円2,000〜6,000万円
大規模(100画面超)35〜70人月180〜250万円6,000万円〜1.5億円超

総額は工数と単価の組み合わせで上下します。たとえば中規模を20人月・単価180万円で見積もると 20 × 180 = 3,600万円です。工程別の内訳は、要件定義2人月・設計4人月・実装9人月・テスト4人月・リリースとデータ移行1人月といった配分になります。

※ 2026年7月に相場観を見直し、2026年9月に前提と計算方法の記載を追加しました。エンジニア不足を背景に単価はゆるやかな上昇傾向が続いていますが、実務の目安としては上記レンジに収まっています。「なぜこれほど幅が出るのか」を、以下の9つの要素で解説します。

人数と期間ではなく、延べ工数で確認する

規模ピーク時の人数期間延べ工数平均の稼働人数
小規模(〜20画面)2〜3名3〜4か月4〜8人月1.5〜2名
中規模(〜60画面)4〜6名6〜10か月13〜30人月2〜3名
大規模(100画面超)10名以上12〜18か月35〜70人月3〜4名

注意したいのは、ピーク人数と期間を掛けても総工数にはならない点です。大規模の例で10名 × 12か月と計算すると120人月・2億円超になりますが、実際にはPM・設計者・テスト担当が工程ごとに入れ替わり、全員がフル稼働するわけではありません。見積書では、人数と期間ではなく工程別の延べ工数を確認してください。


1. 画面数・機能数

画面や機能が増えれば工数は直線的に伸びます。人月単価も、画面や機能の複雑さ、要件定義の難易度によって変わります。上の早見表のとおり、20画面で4〜8人月、60画面で13〜30人月が目安です。同じ画面数でも、入力チェックや権限管理、帳票の作り込みが多いほど上限側に寄ります。

2. 技術スタックとレガシー資産

モダンフレームワークよりレガシー技術はエンジニアが限られ、単価が10〜15%高騰しやすいです。

3. 要件の具体度と変更頻度

要件が曖昧なまま走ると後半で仕様追加が頻発し、必要工数が1.3〜1.5倍になる事例が多いです。早期に優先順位を固めるとコストを抑えやすいでしょう。

4. UI/UX の複雑度

ドラッグ&ドロップなどリッチなインタラクションを増やすとフロント側の工数が標準比で1.2倍、モバイル対応を含めるとさらに15%上乗せになります。

5. 外部連携・API 本数

社内基幹やSaaSとの連携が増えるほど試験が増え、1本あたり5〜10人日を見込むのが現実的です。CSV連携はエラー処理が複雑化しやすく、API連携より割高になる場合があります。

6. 性能・可用性・セキュリティ

項目基準値強化後追加コストの目安
同時接続数1001,000+25%
可用性SLA 99.5%99.9%+15%
セキュリティ一般水準ISMS/SOC2+5〜8%

要件を厳格にするほどインフラと開発のコストが上がります。求める水準と費用のバランスを、要件定義の段階で決めておくことが重要です。

7. スケジュールと開発体制

標準スケジュールの70%以下で納品を求めると並列開発やバッファが必要になり、費用は1.2〜1.4倍に増える傾向があります。

8. 運用・保守フェーズ

運用保守費は新規開発費の15〜25%/年が相場です。随時改修や内製化支援を含めると25%を超えるケースもあります。早見表の総額にこの費用は含まれていないため、予算化の際は別枠で確保してください。

9. 契約形態とリスク分担

契約形態費用感リスクの所在
請負契約高め完成責任は開発会社側
準委任契約中程度進捗リスクを発注側も負担
共同開発低〜中リスク共有・受入工数が必須

見積書で確認したい4点

見積書を受け取ったら、金額の合計ではなく次の4点を確認すると、費用構造を比較できます。

  1. 工程別の延べ工数(人月)が記載されているか。人数と期間だけの記載なら、稼働率を確認する
  2. 人月単価が役割別(PM・設計・実装・テスト)に分かれているか
  3. 見積範囲に何が含まれていないか。データ移行、既存システムとの並行稼働、教育、運用保守は特に漏れやすい項目です
  4. 要件が変わったときの費用ルールが契約に書かれているか

特に「画面数・機能数」と「要件の具体度」は後から修正しづらいため、初期段階で固めておくとコストのブレを抑えられます。

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金額の根拠について

  • 人月単価と工数のレンジは、当社の見積・受注の実績と、協力会社との取引単価をもとにした目安です。特定の統計の平均値ではありません
  • 工数と工期の実績分布については、IPA「ソフトウェア開発分析データ集2022」が一次情報として参照できます
  • 本記事の金額は、地域・工程範囲・契約形態によって上下します。実際の見積もりは要件を確認したうえで算出します

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