受託開発費は「人月単価 × 工数」で算出します。公式はシンプルですが、実務では人月単価と工数を押し上げる隠れ要素が少なくありません。本稿では 2025 年時点の相場観と、費用を決定づける九つの要素を整理します。見積もりを査定するときの物差しとしてご活用ください。
ここでは、システム開発業界の一般的な数字、考え方をお伝えします。
1. 画面数・機能数
画面や機能が増えれば工数は直線的に伸びます。月額人月単価は、画面や機能の複雑さや要件定義などの規模・難易度によっても変わります。
規模 | 月額人月単価 | 人員・期間の典型例 |
---|---|---|
小規模(〜20画面) | 100〜200 万円 | 2〜3 名・3 か月 |
中規模(〜60画面) | 100〜220 万円 | 4〜6 名・6〜10 か月 |
大規模(100画面超) | 100〜250 万円 | 10 名以上・12 か月超 |
2. 技術スタックとレガシー資産
モダンフレームワークよりレガシー技術はエンジニアが限られ、単価が10〜15 %高騰しやすいです。
3. 要件の具体度と変更頻度
要件が曖昧なまま走ると後半で仕様追加が頻発し、必要工数が1.3〜1.5倍になる事例が多いです。早期に優先順位を固めるとコストを抑えやすいでしょう。
4. UI/UX の複雑度
ドラッグ&ドロップなどリッチなインタラクションを増やすとフロント側の工数が標準比で1.2倍、モバイル対応を含めるとさらに15 %上乗せになります。
5. 外部連携・API 本数
社内基幹や SaaS 連携が増えるほど試験が増え、1本あたり5〜10人日を見込むのが現実的です。CSV 連携はエラー処理が複雑化しやすく、API 連携より割高になる場合があります。
6. 性能・可用性・セキュリティ
項目 | 基準値 | 強化後 | 追加コスト目安 |
---|---|---|---|
同時接続数 | 100 | 1,000 | +25 % |
可用性 | SLA 99.5 % | 99.9 % | +15 % |
セキュリティ | 一般水準 | ISMS/SOC2 | +5〜8 % |
要件を厳格にするほどインフラと開発コストが跳ね上がります。バランスの見極めが難しいところです。
7. スケジュールと開発体制
標準スケジュールの70 %以下で納品を求めると並列開発やバッファが必要になり、費用は1.2〜1.4倍に増える傾向があります。
8. 運用・保守フェーズ
運用保守費は新規開発費の15〜25 %/年が相場です。随時改修や内製化支援を含めると 25 % を超えるケースもあります。
9. 契約形態とリスク分担
契約形態 | 費用感 | リスク所在 |
---|---|---|
請負契約 | 高め | 完成責任は開発会社側 |
準委任契約 | 中程度 | 進捗リスクを発注側も負担 |
共同開発 | 低〜中 | リスク共有・受入工数必須 |
平均人月単価相場 2025
規模 | 平均人月単価 | プロジェクト総額の目安 |
---|---|---|
小規模 | 100〜180 万円 | 500〜1,200 万円 |
中規模 | 150〜220 万円 | 2,000〜6,000 万円 |
大規模 | 180〜250 万円 | 6,000 万円〜1.5 億円超 |
これらのレンジは、公開統計を当社が再集計し独自の視点と試算を加えて整理したものです。地域・工程範囲で上下しますので目安としてお使いください。
コスト最適化に向けた第一歩
見積書を受け取ったら、今回の九つの要素に沿って内訳を分解すると費用構造が把握しやすいはずです。特に「画面数・機能数」と「要件具体度」は後から修正しづらいので、初期段階で明確化するとコストのブレを抑えられるでしょう。
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参考出典
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