要件定義の費用相場|工数の目安・成果物・要件定義だけを依頼する方法
要件定義の費用は「人月単価 × 要件定義に使う工数(人月)」で決まります。当社の実績レンジで算出すると、小規模(〜20画面)の業務システムで50〜180万円、中規模(〜60画面)で200〜700万円、大規模(100画面超)で700〜1,800万円が目安です(税別)。本記事では、この金額がどう決まるのか、要件定義で何が納品されるのか、要件定義だけを先に依頼する方法と見積書の見方を解説します。
この記事の前提
- 対象: 開発会社に依頼する業務システム・Web システムの要件定義。社内で行う要件定義の人件費は含みません
- 算式: 費用 = 人月単価 × 延べ工数(人月)。工数は「人数 × 期間 × 稼働率」で求めます
- 人月単価と全体工数のレンジは「受託開発の費用相場」の早見表と同じ値を使っています
- 金額はすべて税別。要件定義後の設計・開発・テストの費用は含みません
要件定義の費用の決まり方
要件定義は、発注側の担当者と開発会社の担当者(PM・設計者)が打ち合わせを重ねて、作るものを文書に落とす工程です。費用を左右するのは次の 2 つだけです。
- 人月単価。要件定義を担当するのは PM や上級の設計者なので、開発全体の平均より高めの単価(150〜250万円/人月)が適用されるのが一般的です
- 延べ工数。打ち合わせの回数、現行業務の調査量、成果物の量で決まります
たとえば中規模の業務システムで、設計者 2 名が 1 か月間、稼働率 100% で要件定義にあたる場合、延べ工数は 2 名 × 1 か月 × 100% = 2 人月です。単価 180 万円なら 2 × 180 = 360 万円になります。実際には発注側の決裁待ちで期間が延びることが多く、期間が延びても稼働率が下がれば工数は増えません。見積書では「人数 × 期間」ではなく延べ工数を確認してください。
規模別の目安(早見表)
| 規模 | 要件定義の費用目安 | 要件定義の工数 | 人月単価 | 開発全体の工数(参考) |
|---|---|---|---|---|
| 小規模(〜20画面) | 50〜180万円 | 0.5〜1人月 | 100〜180万円 | 4〜8人月 |
| 中規模(〜60画面) | 200〜700万円 | 1.5〜3人月 | 150〜220万円 | 13〜30人月 |
| 大規模(100画面超) | 700〜1,800万円 | 4〜7人月 | 180〜250万円 | 35〜70人月 |
要件定義の工数は、開発全体の延べ工数のおよそ 1 割を目安にしています(当社の見積実績にもとづく比率で、案件により前後します)。現行システムの資料が無い、関係部署が多い、帳票が多い、といった条件では上限側に寄ります。既存の Access・Excel を置き換える単機能ツールなら、要件定義は数日〜2 週間で済み、費用は開発費に含めて見積もることが多くなります。
要件定義の見積もりを一緒に確認しませんか
他社の見積書でも構いません。工数・単価・成果物の範囲が妥当かどうかをお伝えします。まだ要件が固まっていない段階のご相談も歓迎です。
要件定義の費用について相談する要件定義で何が納品されるか
費用の妥当性は、成果物の一覧と照らして判断します。一般的な業務システムの要件定義では、次の文書が納品されます。
| 成果物 | 内容 | 無いと起きること |
|---|---|---|
| 業務フロー図(現行・新) | 誰が・いつ・何をするかの流れ | 開発中に「この場合はどうする」が頻発する |
| 機能一覧 | システムが持つ機能の一覧と優先度 | 見積範囲の解釈が食い違う |
| 画面一覧・画面イメージ | 画面数と主要画面のレイアウト | 画面数が増えて費用が膨らむ |
| データ項目定義 | 管理する項目・桁数・必須の有無 | 移行時にデータが入らない |
| 帳票一覧 | 出力する帳票とレイアウト | 帳票の作り込みで工数超過 |
| 外部連携の一覧 | 会計・基幹・SaaS との連携方式 | 連携ごとに追加費用 |
| 非機能要件 | 同時接続数、応答時間、可用性、セキュリティ | インフラ費用と性能の後出し |
| 移行・運用の方針 | 現行データの移行範囲、並行稼働、教育 | 移行費用が見積に無い |
| 開発費の見積(概算) | 要件定義の結果にもとづく設計以降の見積 | 相見積もりの比較ができない |
成果物が「要件定義書 一式」としか書かれていない見積書は、範囲を確認してください。
要件定義だけを先に依頼する方法
要件定義は、設計以降とは別に「準委任契約」で先に依頼できます。作るものが決まっていない段階で総額を約束できないため、多くの開発会社がこの形を採ります。
- 準委任契約: 要件定義の期間と工数に対して費用を払う。完成責任はなく、成果物(上の一覧)を受け取る
- 請負契約: 要件定義後、作るものが確定した段階で設計以降を総額で契約する
要件定義だけを先に発注する利点は、成果物を持って他社に相見積もりを取れることと、要件を固めてから総額を確定できることです。当社では、要件定義後の設計以降を他社に発注していただいても構いません。逆に、要件定義を省いて総額で契約すると、途中の仕様追加で費用が 1.3〜1.5 倍になる事例が少なくありません。
費用が膨らむ要因
| 要因 | 起きること | 事前にできること |
|---|---|---|
| 現行システムの資料が無い | 現行調査の工数が増える | 画面キャプチャと帳票サンプルを集めておく |
| 関係部署・決裁者が多い | 打ち合わせ回数と待ち時間が増える | 窓口担当者と決裁ルートを先に決める |
| Access・Excel の暗黙ルール | 作った人しか知らない処理の掘り起こし | マクロ・数式の一覧化を先に依頼する |
| 「あれもこれも」の要望 | 機能一覧が膨らむ | 優先度(必須・あれば良い)を分ける |
| 非機能要件が未定 | 性能・セキュリティの前提が決まらない | 利用人数・拠点・取引先の要求を整理する |
見積書で確認したい 4 点
- 工数が人月(または人日)で書かれているか。人数と期間だけなら稼働率を確認する
- 成果物が列挙されているか。「要件定義書 一式」だけなら範囲を聞く
- 打ち合わせの回数と場所(訪問・オンライン)、レビューの回数が決まっているか
- 要件定義の結果として、設計以降の概算見積が出るか。出ない場合は総額の見通しが立たない
よくある質問
要件定義の費用は開発全体の何割くらいですか?
当社の見積実績では、開発全体の延べ工数のおよそ 1 割が要件定義にあたります。中規模(延べ 20 人月)の例では要件定義 2 人月、単価 180 万円で 360 万円です。現行資料の有無や関係部署の数で前後します。
要件定義だけを依頼できますか?
できます。準委任契約で要件定義の期間と工数に対して費用をお支払いいただき、業務フロー図・機能一覧・画面一覧・データ項目定義などの成果物と、設計以降の概算見積を納品します。設計以降を他社に依頼していただいても構いません。
要件定義の期間はどのくらいですか?
小規模で 2〜4 週間、中規模で 1〜2 か月、大規模で 2〜4 か月が目安です。発注側の決裁や関係部署の調整で延びることが多く、期間が延びても稼働率が下がれば工数(費用)は比例して増えません。
要件定義を自社で行えば費用は下がりますか?
開発会社の要件定義費用は下がりますが、機能一覧や画面一覧の精度が低いと、設計以降で仕様追加が発生して総額が増える傾向があります。自社で業務フローと帳票サンプルを整理し、文書化と非機能要件の整理を開発会社が担う分担が現実的です。
金額の根拠について
- 人月単価と工数のレンジは、当社の見積・受注の実績と、協力会社との取引単価をもとにした目安です。特定の統計の平均値ではありません
- 要件定義の工数比率(およそ 1 割)も当社実績にもとづく比率で、業界の統計値ではありません
- 本記事の金額は、地域・工程範囲・契約形態によって上下します。実際の見積もりは要件を確認したうえで算出します
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