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開発会社と連絡が取れないシステム、どうすればいい?|保守の空白を埋める「引き取り保守」の進め方と、相談前に手元で確認する5つのこと

開発会社と連絡が取れないシステム。保守の空白を第三者が引き継ぐ「引き取り保守」の流れ

業務は動いている。でも「何かあったら誰に頼むのか」が決まっていない

「受発注のシステムは毎日使っています。ただ、作ってもらった会社に連絡がつかなくなって……」

ご相談の電話で、いちばん多く耳にするのがこの話です。システムそのものは今日も動いている。困っているのは機能ではなく、「何かあったとき、誰に頼めばいいのか」が宙に浮いていることです。

この状態を私たちは「保守の空白」と呼んでいます。空白のあいだは何も起きないので、つい後回しになります。しかし障害が起きた瞬間、空白は最も高くつく問題に変わります。直せる人がいない、仕様を知る人がいない、データがどこにあるかも分からない——その状態で業務が止まるからです。

この記事では、保守が宙に浮いたシステムを、開発元に代わって第三者が引き継ぐ「引き取り保守」という選択肢について、相談前に手元で確認しておきたいこと、ソースコードや設計書がなくても引き継げる理由、引き継ぎの流れを整理します。

保守が宙に浮く、6つの典型パターン

引き取り保守のご相談は、きっかけこそ違っても、ほぼ次の6つに収まります。

状況よくあるきっかけ放置した場合のリスク
開発会社と連絡が取れない廃業・事業撤退・担当窓口の消滅、問い合わせへの無応答障害時に直せる人がいない
担当エンジニアが退職した「あの人しか触れない」状態での退職怖くて手を入れられず、改善が止まる
ドキュメントがない設計書・仕様書が残っていない、または更新されていないどこを直すと何が起きるか分からない
改修を断られた・見積が高すぎる現在の保守会社が機能追加に応じない、相場感の掴めない見積業務の変化にシステムが追いつかない
保守契約が切れたまま稼働「動いているから」で契約更新を見送った障害・データ消失・セキュリティへの備えがゼロ
OS・ミドルウェアのサポート期限サーバーOS・DB・言語のバージョンが古いまま期限を過ぎた時点でセキュリティリスクが急上昇

共通しているのは、今日の業務には支障がないことです。だからこそ経営判断として優先されにくい。しかし6つのどれも、障害が起きた日に「保守の空白」として一気に表面化します。

保守の空白が「障害の日」に高くつく理由

通常の保守契約があれば、障害が起きたときの動きは決まっています。連絡先があり、仕様を知る人がいて、復旧の手順がある。保守の空白では、この三つがすべて欠けます。

  • 連絡先がないので、まず「誰に頼むか」を探すところから始まる。復旧ではなく、ベンダー探しに最初の数日が消える
  • 仕様を知る人がいないので、引き受けた側はソースコードを読み解くところから着手する。緊急対応と調査を同時に走らせることになり、費用も時間も平時の数倍になる
  • 復旧手順がないので、バックアップの有無や取り方、データの所在をその場で確かめることになる。バックアップが取られていなかった、というケースも少なくない

つまり保守の空白は、「障害が起きる確率」を上げるわけではありません。障害が起きたときの損失を、何倍にも膨らませるのです。

相談前に手元で確認しておきたい5つのこと

引き取り保守の相談は、手元の資料がそろっていなくても始められます。ただ、次の5点を事前に確認しておくと、現状調査が早く進み、見積の精度も上がります。

  1. ソースコードは手元にあるか 社内のサーバーやファイル共有、前の開発会社から受け取った納品物の中にないか確認します。なくても相談できます。サーバーへのアクセス情報があれば、動作環境から調査できる場合が多くあります。
  2. サーバーへのアクセス情報はあるか サーバーの管理画面、SSHやリモートデスクトップの接続情報、データベースの接続情報。これがあれば、ソースコードがなくても「中で何が動いているか」を確かめられます。
  3. 契約書・納品書・見積書は残っているか ソースコードの著作権や引き渡し条件が書かれていることがあります。前の開発会社との交渉で「何を求めるべきか」を判断する材料になります。
  4. 業務上の重要度と、止まったときの影響範囲 そのシステムが止まると、どの業務が止まるのか。受発注なのか、請求なのか、社内の勤怠なのか。引き継ぎの優先順位を決める最重要情報です。
  5. サポート期限が近い構成要素はないか WindowsやSQL Server、Accessなどのバージョンと、そのサポート期限。期限が差し迫っていれば、引き継ぎと並行して先に手を打つ必要があります(→ 期限の一覧は Accessシステムの限界とサポート期限 にまとめています)。

5つのうち一つもそろっていなくても、相談はできます。むしろ「何もない」状態からの引き継ぎは、引き取り保守では珍しいことではありません。

設計書がなくても引き継げる理由

「ドキュメントが一枚もないのに、他社のシステムを引き継げるのか」と、よく聞かれます。

結論から言うと、ソースコードと実際の動作環境があれば、仕様は解析できます。設計書は「作る前に書いた予定」ですが、ソースコードは「実際に動いている事実」です。設計書と実装がずれていることは珍しくないので、引き継ぎの現場では、むしろコードと動作環境のほうを信頼します。

SIAは2003年の創業以来、PHPと.NETを中心に100件を超える業務システムを手がけてきました。その中には、新規開発と同じくらい、他社が作ったシステムのコードを読み解いて引き継ぐ仕事が含まれています。前のベンダーが途中で撤退したプロジェクトを、残されたシステムと資料の技術評価から立て直した事例もあります(→ 停止した開発プロジェクトの立て直し)。

解析の過程で、今後の保守に必要な範囲のドキュメントを整備しながら引き継ぎます。「ないから無理」ではなく、「ないから作りながら引き継ぐ」が実務です。

対応できる技術の範囲

分野対応内容
言語・フレームワークPHP(Laravel ほか)、.NET(C#・VB.NET・ASP.NET)、JavaScript/TypeScript、Python。VB6・Accessなどのレガシー環境は、当面の保守と並行して刷新の提案が可能
データベースMySQL、SQL Server、Oracle、PostgreSQL。データ移行やバックアップ体制の整備も対応
インフラAWS・Microsoft Azureなどのクラウド、VPS、オンプレミスサーバー。老朽化サーバーからのクラウド移行も相談可

対応できるかどうかは、無料相談の段階でお答えします。

引き継ぎの流れ(4ステップ)

  1. 無料相談 システムの用途、困っていること、手元にある資料をうかがいます。この時点で費用は発生しません。
  2. 現状調査 ソースコード・データベース・サーバー環境を調査し、システムの健康状態を「見える化」します。引き継ぎに必要な作業を整理して報告します。
  3. 引き継ぎ計画・保守開始 調査結果をもとに、保守の範囲・体制・費用を提案します。合意後に保守を開始し、「何かあったら頼れる先」が復活します。緊急性の高い障害は、調査と並行して先行対応することも可能です。
  4. 改善・刷新の伴走 安定運用を土台に、そのまま保守を続けるか、部分改修か、段階的な刷新か。システムの状態と業務の実態から、長期的に最も合理的な道筋を提案します。

4ステップ目で大切にしているのは、刷新ありきにしないことです。業務を止めずに段階的に移行した事例はありますが(→ 20年稼働レガシーシステムの段階的刷新)、保守を続けるのが最も合理的なシステムも多くあります。保守と刷新は二者択一ではなく、当面の保守を引き受けながら刷新を並行して検討できます。

「今の保守会社と契約中」でも相談できます

引き取り保守のご相談には、もう一つの入口があります。保守会社はいるが、その対応や見積が妥当かどうか判断できない、というケースです。

  • 機能追加を頼んだら断られた
  • 改修の見積が出てきたが、高いのか安いのか分からない
  • 「できない」と言われたが、本当にできないのか確かめたい

こうした場合、契約中であっても、第三者の技術者として客観的な意見をお伝えする「セカンドオピニオン」としてのご相談を受けています。秘密は厳守します。SIAはISMS(ISO/IEC 27001:2022)認証を取得しており、他社の資産を預かる前提で情報管理の体制を整えています。

費用の目安

引き取り保守の月額費用は、10万円からが一つの目安です。小規模なWebシステムや業務システムで、障害対応・問い合わせ対応・定期メンテナンスを平日日中に行う範囲なら、この水準から始められることが多くあります。

ただし、これはあくまで最小の例です。費用は次のような条件で変わり、規模や対応範囲によっては月額40〜50万円を超えるシステムもあります。

  • システムの規模と構成(画面数、連携先、サーバー台数)
  • 対応時間帯(平日日中のみか、夜間・休日を含むか)
  • 保守の範囲(障害対応と定期メンテナンスのみか、小規模な改修まで含むか)
  • 手元にある資料の量(ソースコードや設計書がなければ、初期の調査に時間がかかる)
  • 技術の古さ(VB6やAccessなど、対応できる技術者が限られる環境)

正確な金額は、現状調査でシステムの状態を把握してから提案します。「まず月額いくらから」と決め打ちせず、お客様の状況に合わせて範囲と費用を組み立てる進め方が基本です。

よくあるご質問

Q. 費用はどのくらいかかりますか? 月額10万円からが一つの目安ですが、これはあくまで最小の例です。システムの規模・構成、対応時間帯、改修を含むかどうかなど、お客様の状況によって変わり、月額40〜50万円を超えるシステムもあります。まず現状調査で状態を把握し、その結果をもとに保守範囲と費用を提案する段階的な進め方が基本です(→ 上の「費用の目安」もご覧ください)。

Q. 引き継ぎにはどのくらいの期間がかかりますか? 規模と状態により異なります。現状調査の結果とあわせて、引き継ぎ計画(期間・体制・優先順位)を提示します。緊急障害は調査と並行して先行対応できます。

Q. 前の開発会社からソースコードをもらえていません。 引き渡しの交渉で何を求めるべきかを、技術面からアドバイスします。契約書に著作権や納品物の定めがあれば、その確認からお手伝いします。

Q. iPhone・iPadアプリも引き継げますか? はい。iOSアプリの保守引き継ぎは専用のページがあります(→ iOSアプリ保守)。

まずは「頼れる先」を復活させることから

保守の空白は、放置している間は何も起きません。だからこそ、障害の日まで気づかれない問題です。

ソースコードがなくても、設計書がなくても、相談は始められます。「うちのシステム、誰が面倒を見てくれるんだろう」と思い当たった方は、まずその状況をお聞かせください。

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