製造業向け 生産管理・在庫管理システム開発
紙の生産記録・在庫表を、現場でそのまま入力できる仕組みに
生産記録が紙のまま集まらない、棚卸のたびに現場が止まる、Excelの在庫表と実在庫が合わない。製造現場の困りごとを、iPad・RFID・AIを使った現場入力の仕組みで解消します。化学メーカーの生産管理やRFID棚卸の事例をもとに、進め方と費用の目安をご説明します。
製造業でよくある課題
製造業からのご相談は、「記録はしているのに、必要なときに数字が手元にない」という形で始まることがほとんどです。当社が手がけた化学メーカーの生産管理とRFID在庫管理に共通していたのは、次の状態でした。
記録が集まるまで異常に気づけない
生産記録が紙や手作業中心だと、データがまとまるまでに時間がかかり、異常やエラーの発見が遅れます。記録の正確さが品質と歩留まりに直結する工程では、この遅れがそのまま損失になります。
棚卸に人手と時間がかかる
紙ベースの在庫管理では正確な在庫数の把握に時間がかかり、定期的な棚卸には多くの人手が必要です。棚卸のたびに現場の作業が止まります。
在庫数が合わない
記録と転記の過程でミスが起きやすく、帳簿上の在庫と実在庫がずれます。ずれの原因を追うための現場往復が、さらに時間を奪います。
現場でPCが使えない
手袋をしたままの作業や、PCを置けない作業場所では、記録はどうしても紙になります。事務所に戻ってから入力する二度手間が、記録の遅れと転記ミスの出発点です。
よくある現状: 紙・Excel・Accessでの生産記録と在庫管理
上の課題の裏には、多くの場合「紙に書いてExcelに転記する」「部門ごとのAccessで管理する」という運用があります。当社に寄せられるAccess・Excelからの移行相談で、製造業に特に多いのは次の3つです。
| 今の運用 | 起きていること | 限界のサイン |
|---|---|---|
| 紙の記録をExcelに転記 | 現場で紙に書き、事務所で入力する二重入力。表記ゆれが溜まる | 集計が翌日以降になる。転記ミスの原因を追えない |
| 共有フォルダのExcel在庫表 | 同時編集ができず、入力待ちやファイルのコピーが乱立する | 「最新版」が複数ある。拠点間で数字が合わない |
| 部門ごとのAccess | 複数人の同時入力に弱く、ファイル上限2GBに近づくと破損リスクが高まる | 起動や集計が遅くなった。作った人がもういない |
すべてを今すぐ置き換えるべきだとは考えていません。複数人・複数拠点で使う、データが増え続けている、業務の中核を担っている、のどれかに当てはまるならWeb化を検討する時期です。延命かWeb化かの判断と移行の進め方はAccess・ExcelからWebシステムへの移行に、Accessのサポート期限はAccessシステムの限界とサポート期限にまとめています。
SIAの解決方法
まず「どこで記録が生まれ、どこで止まっているか」を現場で確認し、入力の手段を業務ごとに選びます。手段は大きく4段階あり、全部を一度に引き上げる必要はありません。
入力手段の4段階: 紙、タブレット、RFID、AI
| 段階 | 入力の手段 | 向いている業務 | 当社の事例 |
|---|---|---|---|
| 1. 紙 | 記録用紙に手書きし、後から転記する | 件数が少なく、集計を急がない記録 | 出発点。下の3件はいずれもここから始まりました |
| 2. タブレット(iPad) | 現場でその場で入力する。選択式で入力ミスを防ぎ、リアルタイムに集約する | 工程ごとの生産記録、品質記録、作業報告 | 化学メーカーのiPad生産管理 |
| 3. RFID | タグを一括で読み取り、入出庫を自動で記録する。人が数えない | 在庫管理、棚卸、入出庫 | 製造業のRFID在庫管理 |
| 4. AI画像認識 | カメラで撮影し、AIが数値を読み取る。人が読まない | 計器メーターの点検記録 | AIメーター自動読取 |
段階が上がるほど「人が記録する」作業が減りますが、機器や学習モデルの費用もかかります。まずタブレット入力で記録をリアルタイム化し、棚卸だけをRFIDにする、という組み合わせが現実的です。
現場入力の設計要件
現場入力のシステムは、画面の作り方で使われるかどうかが決まります。当社の事例で実際に採った設計判断は次の4つです。
手袋をしたまま操作できる画面
ボタンや選択肢を大きく取り、手袋をしたままでも押し間違えない配置にします。化学メーカーの生産管理で、工場現場での利用を前提に採った設計です。
選択式で入力ミスを防ぐ
自由入力を減らし、工程・品目・区分は選択式にします。表記ゆれが入らないので、集計した数字をそのまま使えます。
一括読取と、誰でも見られる在庫画面
RFIDは専用リーダーで複数のタグを一括で読み取り、紙の記録と転記を廃止します。在庫の状況は現場の誰でもすぐ確認できる画面構成にし、在庫確認のための現場往復をなくします。
リアルタイム集約と異常値アラート
入力されたデータはその場で集約し、管理側がすぐ状況を把握できるようにします。読み取り値が正常範囲を外れたら通知し、「記録する」だけでなく「異常に気づく」ところまで自動化します。
対応の形
システムの形は、現場の状況と既存システムの有無で選びます。
iPadでの現場入力
Webシステムとして作り、現場はiPadから、管理側は事務所のPCから同じ画面を使います。iOSアプリ開発にも対応しています。
RFIDによる在庫・棚卸
RFIDタグとリーダー、Webシステムを組み合わせます。タグの貼り方や読み取り位置は現場で検証してから決めます。
既存システムとの連携
生産管理パッケージやERPは残したまま、現場入力や棚卸の部分だけを作り、CSVの取り込みやAPI連携で二重入力をなくします。
スクラッチ開発
現場の記録方法がパッケージに合わない場合は、業務に合わせてゼロから作ります。向き不向きはスクラッチ開発とパッケージ導入の違いで整理しています。
開発事例
製造業の事例を2件ご紹介します。いずれも紙・手作業からの脱却で、現場で何が変わったかを事例ページに課題・対応・成果の順で書いています。他業種を含む全事例は開発事例にまとめています。
化学メーカーの iPad生産管理システム
生産記録が紙や手作業中心で、データがまとまるまでに時間がかかり、異常の発見が遅れがちでした。製造ラインの運用を確認したうえで、現場でiPadから直接入力できる生産管理システムを構築し、入力データをリアルタイムに集約して管理側がすぐ状況を把握できるようにしました。手袋をしたままでも扱いやすい画面と、入力ミスを防ぐ選択式の入力項目を採用しています。正確なデータ管理により品質が向上し、エラーの迅速な発見と歩留まりの改善につながりました。詳しくは化学メーカー向け iPad生産管理システムをご覧ください。
製造業の RFID在庫管理システム
在庫管理が紙ベースで、正確な在庫数の把握に時間がかかり、棚卸には多くの人手と時間が必要でした。RFIDタグで入出庫を自動で記録し、Webシステム上でリアルタイムに在庫を把握できる仕組みを構築しました。読み取りは専用リーダーで一括処理し、紙の記録・転記作業を廃止しています。棚卸し作業時間を大幅に短縮し、在庫精度が向上しました。詳しくは製造業向け RFID在庫管理システムをご覧ください。
設備点検のAI化: メーター読み取りの自動化
生産記録や在庫のほかに、工場で紙が残りやすいのが設備点検の記録です。当社では、工場・施設の計器メーターをカメラで撮影し、AI画像認識で数値を自動で読み取るシステムを開発しました。
対象の現場では、多数の計器メーターを作業員が定期巡回で目視確認し、記録用紙に書き取ってから手入力していました。メーターを撮影するだけでAIが数値を読み取り、クラウドに自動で蓄積する仕組みにしたことで、転記・手入力の作業自体がなくなっています。正常範囲を外れた場合の異常値アラートも実装し、定期巡回の工数削減と記録精度の向上を同時に実現しました。技術はPython、OpenCV、機械学習モデル、クラウド連携です。
向いている現場
メーターの数が多く巡回に人手がかかっている。アナログメーターが残り、既存の計装に手を入れにくい。
先に確認すること
メーターの種類と設置環境で読み取り精度は変わります。対象メーターの写真で読み取れるかを検証してから本開発に進みます。
生産記録と組み合わせる
点検記録と生産記録を同じ基盤に集めると、設備の状態と歩留まりを並べて見られます。
詳しくはAIメーター自動読取システムをご覧ください。
費用の目安
費用は画面数と連携先の数でほぼ決まります。製造業の案件は、規模をおおむね次のように読み分けてください(いずれも税別、要件定義からリリースまで)。
- 棚卸だけ、1工程の記録だけ、といった単機能のツール(画面数10未満): 100〜300万円程度
- 複数の工程・画面を持つ生産管理システムを新規に作る(〜20画面): 500〜1,200万円
- 工場横断・複数部門で使う中規模のシステム(〜60画面): 2,000〜6,000万円
RFIDを使う場合は、タグ・リーダー・ゲートウェイなどの機器費が開発費とは別にかかります。リリース後の運用保守費は開発費の15〜25%/年が目安です。規模ごとの工数と人月単価は受託開発の費用相場に、費用の内訳と抑え方はシステム開発の費用・相場にまとめています。要件定義だけを先に依頼したい場合は要件定義の費用相場をご覧ください。
よくあるご質問
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